■ 上司、同僚のスピーチ
職場の同僚や後輩、部下からスピーチを頼まれる。
これがおそらく、もっとも頼まれやすい、結婚式のスピーチでしょう。
大切な部下のため、ひと肌脱いでやりたいところですが、実際には、会社のイメージにも影響を与え、しかも場合によっては、よく知らない間柄でもスピーチをしなければいけない。
思った以上に、難度が高い場合があるのが、上司、同僚のスピーチです。
ですので、依頼を受けた後まずすることは、当事者の近くにいる人へのヒアリングです。
例えば、営業部の部長が、主任の部下から披露宴に招待され、スピーチを頼まれた場合、まずその部下の直接の上司や、同僚に話を聞きます。
そこで、普段がんばっている姿や、貢献への感謝の気持ちなどの、リアルな声を集め、それを紹介するとよいでしょう。
また、上司や同僚のスピーチで注意をしなければいけないのが、あなた自身も忙しい、ということです。
忙しさにかまけて準備がなかなかできず、まあ大丈夫だろう、と行き当たりばったりでやった結果、ご本人にも、周囲の方にも残念なスピーチになってしまう…
そんなことは意外と多いものです。
これも、ひとつの仕事。業務としてとらえ、時間を確保しましょう。
内容の面で注意すべきなのは、アドバイスです。
人生でも、仕事の上でも先輩である以上、価値あるアドバイスができる存在ではありますが、そうはいっても、当日の主役は新郎新婦。あまりアドバイスが多すぎても、上から目線で偉そう、と思われてしまいます。
アドバイスは、披露宴の席でなくともできること。もしどうしても伝えたいことがあるなら、ひとつに絞って、簡潔に伝えるようにしましょう。
また、新郎または新婦の仕事上の失敗談などを伝える時も、注意が必要です。失敗談や短所の指摘は、人によって受け止め方が変わります。失敗談や短所をスピーチに盛り込む場合は、ユーモアを意識する方が多いでしょうが、それがユーモアだと必ず伝わる構成、話し方になるようにしましょう。
そして最後に、新郎からの依頼でもあっても、その逆であっても、パートナーへの感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
部下(同僚)の活躍には、必ずパートナーのサポートがあります。その存在そのものへの感謝を伝えること。ただし、「内助の功」のように、主従を連想させる言葉や内容にはせず、あくまで対等のパートナーとして扱うことが大切です。